ETTO#21 みんなの救急科 安芸太田病院
地域病院で働く道を切り開く
安芸太田病院
医師になって10年目、中山間地域にある安芸太田病院で働く松本丈雄先生。
前職の市立三次中央病院では、ふるさと枠卒業生が救急科医として
働く道を切り開くため、救急部門の立ち上げに力を尽くしました。 (取材:2025年9月)
中山間地域の病院には救急部門がないところがほとんどで、ふるさと枠出身者が救急科医として働くのが難しい現状がありました。そこで、新たに救急科を作れないかと考え、広島大学の地域医療システム学の松本正俊教授と救急集中治療医学の志馬伸朗教授にご相談したところ、「やってみましょう!」と背中を押してもらえたのです。
今思うと、医師6年目で救急科を立ち上げるというチャレンジを応援してもらえたのは、本当にありがたかったです。
大変でしたね(笑)。救急科ができたからといって、すぐに患者さんを任せてもらえるわけではありません。それまで各診療科の先生たちが救急対応をされていたのですから、当然ですよね。そこで、まずは院内の困りごとを探すところから始めました。見えてきたのは重症患者さんの入院対応に困っていたこと。私が集中治療管理のサポートを申し出ると、「ありがとう、助かった」と喜んでもらえました。
もともと“断らない医療”を実践していた病院でしたが、重症者の受け入れがスムーズになったことで救急車の応需率は100%近くまでアップ。そうした地道な努力のかいがあって、赴任して半年経つ頃には救急科医の役割を認めてもらえるようになりました。
救急部の医師は私1人で、救急搬送やウォークインで来た患者さんの診療をしています。軽症の患者さんが多いですが、中には転倒による外傷性の脳損傷や敗血症、婦人科系の疾患、急性腹症など緊急手術が必要な人も。一見、軽症のようでも重い疾患が隠れていることがあるので、それを見落とさないようにするのが私の役割です。
また、週1回は広島大学病院の高度救命救急センターに行き、あらゆる重症疾患に対応しています。地域の病院で働きつつ、救急集中治療領域のスキルを維持するための努力は欠かせません。
臨床以外には、学会に参加したり、若手向けの勉強会を開いたり、書籍を執筆したりと、さまざまなことにチャレンジしました。病院の特性に合わせて臨機応変に目標を切り替えていけば、たとえ症例数が少ない病院で働いていても、決して無駄な時間にはならないと思います。
私は研修医のときから、いずれは1人で救急医療をやることを想定してトレーニングをしてきました。大事なのは、自分がどんな医師になりたいのかを考えるだけでなく、それを実現させるために何が必要なのかまで具体的に考えること。その上で、どうすれば他者に貢献できるのかをイメージできれば、その夢はより実現しやすくなります。
広島県で救急科医が楽しく充実して働ける場所が増えるにはどうすればいいか?この問いを解決するために地域医療で学んだことを活かしていきたいです!
(ETTO#21 2025 Winter より)
松本先生のON と OFF
1日のスケジュール
Q.勤務体制について、特徴やアピールポイントを教えてください
週1回程度当直。
Q.勤務中に一番好きな時間を教えてください
Q.休日の過ごし方を教えてください
普段の移動中や家事をしながらラジオを聴くのがリフレッシュ方法です。