ETTO#21 みんなの救急科 県立広島病院
1秒でも早く治療を始める
県立広島病院
ドクターカー、ドクターヘリを使った病院前救急で力を発揮する県立広島病院。
医師が現場に直行することで、迅速な救命が可能になります。
全国トップレベルのクオリティを目指して、日々、研鑽を続けています。
経験豊富な大先輩の世良先生と、専攻医の津野先生に話をお聞きしました。
当院は病院前救急にも力を入れていて、県内で初めてドクターカーを導入したのもここでした。
病院に搬送される前から治療を始められるのは大きいですよね。
私のこれまでの経験でも、ドクターカーでなければ助けられなかった命が間違いなくあります。
私も何度か同乗させてもらっているのですが、ベテランの先生たちの判断が早くてすごいなと。その場で臨機応変に対応しなければならないことがたくさんありました。
現場では物も人も足りないので、何が命に関わるのかを考えることが大事。だから、できるけれどやらない処置を決めることも。
リアルタイムでどんどん状況が変わっていく中で、どんな対応をされるのか。見ていてとても勉強になります。
病院側の受け入れ体制を整えられるのも、ドクターカーのメリットです。院内の先生に準備が必要な処置を伝えておくことで、時間を短縮できる。1秒でも早く対応できるように、定期的にスタッフが集まってシミュレーションをしています。
はい、私も参加しています。患者さんが到着してそのまま手術室に直行することもあって、チームワークが抜群だと思います。病院前救急ではドクターヘリも活躍していますよね。
そうそう。広島県では、当院と広島大学病院が協力して、ドクターヘリに加えて消防のヘリも運行する体制をとっていて、いざというときに消防のヘリも使うことができるのが特徴です。広島ヘリポートに交代で医師を派遣しているので、もしドクターヘリが出動していてももう1機出すことができます。
広島県は島も多いですし、ドクターヘリのニーズが高いですよね。
それと当院は基幹災害拠点病院なので、普段から多数傷病者が発生したケースへの対応やその訓練もしています。そうした動きは災害時の対応で役立っています。
世良先生は東日本大震災や西日本豪雨災害、能登半島地震でも、DMAT 隊員として出動されたんですよね。
災害時の被災地派遣も僕らの重要な役割だからね。「助けてほしい」という人がいたら、それが病院でも被災地でも、求めに応じるのが救急科医だと思っています。
私もまずは院内での経験を積んで、いずれは病院の外でも活躍できる医師になりたいです!
津野先生はなぜ救急科医になろうと思ったの?
私が思い描いていた医師のイメージが「なんでも診られて、どんな患者さんでも助けられる人」だったので、それができるのは救急科医かなと。世良先生はもともと内科がご専門だったんですよね。
そう。7年目のときに救急科医に転向したんだよね。外勤先の病院で1人当直をしなければならなくて。頭部外傷や心肺停止の患者さんに必要な処置は何なのかを、自信を持って判断できるようになりたいと思ったのがきっかけです。それから東京の病院で救急を学び、そのスキルやノウハウを広島に持ち帰ってきました。
救急科で働き始めて意外だったのが、働きやすいことでした。ハードな時間帯もありますが、シフト制なのでオンとオフの切り替えがしっかりできます。週休2日なのも嬉しいです。
僕は自分に子どもができたタイミングで、仕事と家庭を両立したいと思うように。結婚している人、子どもがいる人だけが優遇されるのではなくて、独身でも、男性でもそれぞれの人生を尊重できる職場にしていきたいと思っています。
専門研修では、救急科医に必要な要素をバランスよく経験できるのがいいところだなと。
病院前から救急外来、ICU、場合によっては一般病棟まで一貫して診られるのは当院の強みだよね。津野先生はいつも冷静に対応してくれていて、救急科医に向いていると思うよ。
ほんとですか!できないときは上級医の先生を呼んで助けてもらうこともあって……。
それが大事。焦って黙ってしまうのではなく、周りとちゃんとコミュニケーションが取れているから。
最近は1人で任されることも多くて。上級医の先生が後ろで見守ってくれている心強さは感じつつ、独り立ちできるように練習をしています。
上級医に言われて動くのと、自分で判断して動くのとでは全然違うよね。
そう思います。やっぱり自分でやってみないと分からないですね。
自分も最初のうちは1人で救急対応するときにすごくドキドキしたけれど、経験を積めばだんだん自信がついてくるから大丈夫。
ありがとうございます、頑張ります。救急科医は「専門性がない」と言われることがありますが、患者さんの状態がガラッと変わったときに落ち着いて対応できるのが救急科医の専門性だと思います。それが私の目指している医師像でもあります。
重症だろうと軽症だろうと、断らずに診ることができる。それが救急科医のやりがいだよね。
病院によっても救急科医の役割は違うので、診療科に迷っている研修医や学生さんは、ぜひいろいろな病院を回って救急科の魅力を知ってもらいたいです。
救急は医療の原点。どの診療科を選ぶとしても、一度は救急科を経験してみることをおすすめします。そして、医師として必要なスキルを身に付けて、困った人にいつでも手を差し伸べられる医師になってほしいです!
(ETTO#21 2025 Winter より)
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